会社を退職する時には様々な手続きが
必要になりますが、中でも住民税についての
計算で戸惑うかたも一定数いるようです。
本来なら特に計算する必要はないのですが、
退職する時には一括清算することも
ありますから、その金額や貯金によっては
生活に困ることになりますからね。
お気持ちは理解できるかもしれません。
実際にFPである筆者は、過去に
退職者が住民税の計算で戸惑っている姿を
見たこともありました。
そこで今回は、
退職時の住民税計算について
お伝えします。
あなたの退職に、お役立て下さいませ。
退職の住民税の計算方法!
そもそもですが、退職そのもので住民税の
金額が変わるような事はありません。
そして、今までは今年支払う住民税を
12分割で支払ってきた訳です。
また、住民税は昨年の分を
今年6月~翌5月で支払います。
このため、毎月の住民税額×翌5月までの
月数が支払額です。
ただ、仮に普通徴収に切り替えるなら、
一回あたりの支払額は大きくなりますから、
注意しましょう。
その上で、次の章からそもそもの住民税の
計算方法を簡単にお伝えします。
1.課税所得額を調べる
まずは「課税所得額を調べる」です。
ちょっと専門的な用語になりますが、
給料以外の収入がない方なら
「給与所得(年収)-給与所得控除」
になります。
退職で源泉徴収票が手元にある方なら
「給与所得控除後の金額」
の欄で確認できるでしょう。
さらにここから、例えば「医療費控除」や
「生命保険料控除」などの「計算上の経費」
を各人の事情に合わせて差し引きます。
人によって引ける引けないは違うので、
自分で一つずつ確認しましょう。
2.均等割を算出する
次に「均等割を算出する」です。
均等割とは、その地域に住まいで
一定以上の収入がある人に均等に
負担してもらう住民税の
一部のことになります。
この均等割と、後述する所得割を合わせて
「住民税」と呼ぶのが一般的です。
なお、均等割はこういった趣旨の税金なので
特に何らかの計算が必要ではなく、ただ
役所が定めている金額を
支払うことになります。
3.所得割を算出する
そして「所得割を算出する」です。
所得割とは、文字通り所得(年収)に応じて
納める金額が変わる住民税になります。
先ほど計算した「課税総所得金額」から
各種の控除を差し引いた金額に、
住民税の税率(10%)をかけ算して
出てきた金額です。
さらにここから、
「調整控除」を差し引きます。
それで出てきた金額と、先ほどの
均等割の金額を合わせた金額が
「住民税」です。
退職の住民税は12月末だと何が違う?
住民税計算の元になる収入は、
1月1日から12月31日までで計算します。
この間の収入を元に計算した住民税額を、
翌年の6月から翌々年の5月にかけて
支払う訳です。
このため、12月末に退職するとなると、
基本的には来年フルで住民税を
支払うことになります。
また12月末で退職する場合は、昨年分の
住民税の残り(1~5月分)を一括で支払うか
それとも普通徴収で分割で支払うかを
決める事が大切です。
黙っていると勝手に決められる事も
あるので注意しましょう。
なお、12月をもっと知りたい方は
以下の記事も参考にどうぞ。
選べるなら時期も考えましょう。
住民税は退職時と退職後でどう違う?
住民税は、退職時と退職後では
支払い方が違ってきます。
退職時なら一括で残額を清算しますが、
退職後に普通徴収で支払うなら
分割払いです。
面倒が嫌いな人なら退職時に
一括清算したほうが良いでしょうし、
貯金が少ない人は退職後に普通徴収で
支払うほうが良いでしょうか。
ちなみに退職後すぐに再就職を
果たせた場合は、今まで通りの
毎月払い(給料天引き)に
できる可能性があります。
これが一番ラクともいえますから、
ぜひ早期の再就職を目指しましょう。
住民税は退職時までの給与支払額で決まるって本当?
住民税は先ほども触れた通り、
1月1日から12月31日までの収入(給料)を
元に計算されます。
このため、例えば半分の6月末で退職し、
その後に再就職できなかったなら、
その6月末までの給与の合計額で
計算される訳です。
簡単といえば、簡単な理屈でしょうか。
ちなみにその後、例えば9月で再就職を
果たせたとすると、1~6月の給料と
9~12月の給料をもとに住民税が
計算されます。
なお、住民税は収入以上に
取られることはないので、しっかり
再就職を果たしたほうが得です。
なお、支払いでお困りの方は
以下の記事も参考にどうぞ。
高い時はホントに高いですよね。
住民税は退職時に普通徴収されるのがお得?
住民税は退職時に
普通徴収されることはありません。
退職時には残る住民税を
一括清算(特別徴収)するか、それとも
分割徴収(普通徴収)するかを選びます。
ちなみにどちらを選んでも、特に住民税の
総額が変わるようなことはないので、
一概に損得はいえません。
強いて言えば、何度も支払うのが
面倒なかたは一括清算、貯金が少ないかたは
分割徴収を選択するのが
良いといえるでしょう。
なお、徴収の違いをもっと知りたい方は
以下の記事も参考にどうぞ。
ぜひ知っておきましょう。
まとめ
気になる方は動画もどうぞ。
今回の記事では、
退職時の住民税計算について
- 課税所得額を調べる
- 均等割を算出する
- 所得割を算出する
とお伝えしました。
厳密にいえば住民税計算は複雑ですが
一度は計算してみても良いかもしれません。
そうして納得のうえで納税して
改めて再就職を果たしましょう。